真っ暗闇に少女が1人。
ぽーんぽーんとリズミカルに鞠のようなものを投げて遊んでいた。
「ねーねー。」
少女は鞠にくつりと笑いかける。
「ティーラとの約束ぅ覚えてるぅ?」
可笑しくてたまらないと言うかの様に少女は笑う。
「今日ぅ一緒にぃ~遊ぼうねって。」
とうとう少女はお腹を抱えて笑う。
その拍子に鞠が落ちた。が、鞠だと思っていたものは苦痛に歪んだ子どもの顔。
「昨日は楽しかったのにね、ね。」
「いーっぱい、鬼ごっこして縄跳びして。」
「お昼ごはんのサンドウィッチもよかった!」
「なのになんでかなぁ?」
上を向いて手を叩いていた少女の目がくるりと落ちた頭部を見る。
よくよく見れば少女の服と顔は血で濡れていたし―――
少し離れたところには恐らくその頭部と繋がっていたであろう体が転がっていた。
「今日も一緒に遊ぼうねってゆったじゃない!」
上から頭を見下ろしてめっ!とおどける。
「何でどっかいこうとしたの?何で逃げたの??」
少女の目から光が消え、憎しみと怒り・・・そして深い絶望が宿った。
「昨日は楽しかったのにねぇ。」
あーあ、つまんないと少女は大声で言った。
「また、動かないオトモダチ増えちゃった。」「まぁいっか、これからはずっと一緒だよ!」
くるりくるりと踊る。それはまるでこの場に似合わない滑稽な姿。
「昨日は楽しかったねぇ。」
ひょい、と頭を持ち上げ少女が目を合わせる。
そしてふと思いついたかのように上を見上げ、にっこりと笑って頭に言った。
「ねぇねぇ、楽しかった昨日は何時になったらくるの?」
少女の絶望は終わらない。
【ねぇ、何時になったら明日はくるの?】
(早く昨日が来ないかなぁ)(そうしたら今度は何して遊ぶ?)
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